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ブレーキの効き具合のお話し
 
足まわり系のチューニング
 

ブレーキの効き具合のお話し

 
ブレーキとは、クルマを構成する要素の中で非常に重要なパーツのひとつだけれど、 個人の好みの差が激しく、こうすれば正解っていうオールマイティーな答えの無いパーツでもある。
今回はこのブレーキの効き具合のホントのところについて。


以前、ブレーキの 「 効き具合の好み 」 について、アンケートを行った事があります。
このアンケートでダントツの回答は、「 初期制動力の良いもの 」 でした。

一般的な乗り方、つまり、街乗りがメインで時々高速道路を使うといったような乗り方の場合、踏み始めて早い段階で 効いてる感じが体感でき、なおかつ、確実に止まる感覚が得られるような
初期制動力が良いものは、「 判りやすい性能 」 と言えます。

例えば、踏んだ瞬間にガツンッと急制動がかかるようなのは論外ですけど、 それなりに早い段階で効いてくれるのは操作感覚的にも気持ちが良いものですし、
街乗りでは 「 安全性が高い 」 です。

実際、街中では急な飛び出しや前走車の急停車など、予期せぬ危険も多いワケですから 踏み初めからグイグイ効いてくれるブレーキは安全面で大いに貢献してくれるでしょう。

市販のブレーキパッドも、そういった事を重視した 「 ストリート用 」 のタイプが多くあります。

…と言うか、パッドだけでブレーキ性能を良くしようとすればするほど、初期から効く傾向が強いと言っても良いかも知れません (^^ゞ

本来、ブレーキ性能を上げるにはローター径の拡大やブレーキパッド面積の拡大、 材質の摩擦係数アップ、耐熱性能などが関わって来ます。

それをパッドだけでどにかしようとすれば、摩擦係数を上げるなど、効きを良くするしかありません。
なのでどうしても踏み初めからグイグイ効く感じになるというワケです。


さて、街中はそれで良いワケで、むしろ、そのほうが好まれる事が多いのですが、「 速く走るには 」 …と考えた場合、それはかえって逆効果になります。

なぜなら、パッドだけで効きを良くしてしまうと、その副作用でコントロール幅が少なくなるからです。

サーキットなどのコースで速く走るためには、まず、「 コントロール性の高いブレーキ 」 が必要です。
踏み初めでグイグイっと効いて減速し過ぎてしまっては、速く走れません。
必要以上に減速しないコントロール性の高いブレーキ性能が重要です。

踏んだ分だけリニアに効く、例えば、足の小指だけ微妙に曲げるようなホンの僅かな踏み方で ブレーキパッドが 「スッ 」 とローターに接触する感覚。

そこから徐々に力を込めて行くと、それに合わせてローターが締め込まれていく感触。
踏んだら直ぐにグイグイと効くのでは無く、このように効きのコントロール幅が広くなければなりません。
こういったブレーキでこそ、自由自在にスピードが調節出来るのです。

そしてさらに必要とされるのが 「 絶対的な制動能力 」 です。
いかに短い距離で、いかに減速するか。
速く走るための極意のひとつであるのは言うまでもないでしょう。
それにはローター径の大径化、パッド面積が広くポッド数の多い大型キャリパー化が必須。

無論、パッドだけでも効きとコントロール性の両立をバランス良く仕上げた商品もあるでしょう。
しかし、元からそういった性能を求めて設計された社外のキャリパーキットには遠く及びません。

サーキットやスポーツ走行を 「 本気 」 で楽しみたい場合、純正キャリパーに市販のパッドだけでは どうしても得られる効果や限界は低いと言わざろう得ないのです。

社外のキャリパーキットは高額なモノが多いので、敬遠されがちと言えますが (^^ゞ
その金額の分、楽しい走りが得られるのは間違いありません。


備考

記事掲載日 : 2019/01/03