■ 記事No.3005 フェードとベーパーロックのウンチク話
「フェード」と「ベーパーロック」を詳しく知らない方も多いと思いますので ここで軽く解説しておきましょう。
●フェード ハードブレーキングが続くとブレーキパッドの温度が上がり、 その限界をオーバーするとブレーキの効きが急激に悪くなる事をさす。
※ブレーキパッドはレジン樹脂で固められていて、このレジンが300℃を 越すと熱による分解が始まりガスを発生させる。このガスが元の体積比率 よりも大きいため、内部からパッドを押し返す形となる。その反力がある ためにブレーキの効きが悪くなる。
●ベーパーロック ブレーキパッドの温度が上昇し、その熱がブレーキフルードに伝わり沸騰して 気泡が発生すると、ブレーキを踏んでも気泡によってキャリパーに伝わらず、 ブレーキが効かなくなる(踏みごたえが無くなる)事を言う。
※ちなみに、
ドライ沸点 DOT3=205℃ DOT4=230℃ DOT5=260℃ ウエット沸点 DOT3=140℃ DOT4=155℃ DOT5=180℃
と言うのが各々の規格です。フルードが新品時がドライで、時間が経つにつれ フルードの成分であるグリコールエーテルが水分を吸収してウェットになります。
一般的にミニサーキット走行ぐらいのスポーツ走行だと「〜500℃」のパッドが 主流のようです。( 最近だともう少し高めかな(^^ゞ ) ただし、対応温度が高くなればその分、低温時の効きは悪くなるので あまりサーキット用パッドを入れるのはお奨めできません。
それと、ローター攻撃性が高いパッドでハードブレーキングするとローター面が荒れて ブレーキ鳴きを引き起こします。対応温度が高いパッドほど、一般的にはローターへの 攻撃性が高くなります。
※ブレーキ鳴きとは、荒れたローターにパッドが当たると、 荒れによってパッドが振動し、音になる。(つまり振動音)
フェード対策としては、新品時にしっかりと「焼き入れ」しておくことが重要です。
「焼き入れ」とは、故意にブレーキパッドの温度を上げるようなブレーキを繰り返し、 フェードに近い状態にしてフェードの原因となるガスを前もって抜いておく作業の ことです。ただし、焼き入れ時にローター面を荒らしてはなんの意味も無いので、 急ブレーキなどを使わずに行います。
また、フェードはブレーキ温度の上昇によって起きる現象ですから、ダクトを作って エアを導き、ブレーキ温度を下げることが有効です。
鳴きをなおすにはローター研磨、またはローター交換です。 パッドの両端の角を落としておくと言う方法も有効です。 また、あたりを取るように丁寧なプレーキングを繰り返すことによって、 鳴きが出るブレーキでも、ある程度、鳴きを緩和することが可能です。
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