■ 記事No.08007 PWCスペイン編7
<8月 01日> なんと、110kmタスク成立! BRINKEBYがゴールに数百メートル届かず!! 大逆転、ハンス・ボーリンガーが総合1位に!! 川地は、勝負にいったが・・・。
■タスク (競技内容:通過すべきチェックポイントと順番)
ターンポイント名 標高 備考 ----------------------------------------------------------------- ・D00 240 TO1 2400m (飛び立つ所) ・B09 131 7.9km 地点 教会 1310m ・A23 115 102km 地点 ゴール(飛行場)1150m (着陸する所) -----------------------------------------------------------------
地図 ※拡大表示はここをクリック
(画像の上=北、右=東)
Window Open 13:55 Start time 14:30 Start point B09, 合計109.8km, min(競技成立最低距離)40km
※ターンポイント名の、前3文字は名前,後ろ3文字は 標高(×10m)を表しています。___は未計測。 スタートポイントとは、スタート時間になったら、 通過するポイントで、その地点を中心に半径400m以内を 通過すれば良いのです。
<結果速報> RANK NO NAME Time/Dis POINT 1 26 BOLLINGER Hans CHE 17:40:05 1000 2 9 HENNY Kaspar CHE 41:32 971 3 6 CARON Jean Marc FRA 42:04 960 4 401 CASARTELLI David FRA 42:19 955 5 18 KLEJA Yuraj SVK 43:17 937 6 244 MORGENTHALER Simon CHE 43:46 928
46 41 KATO Go 59:50 681 54 110 YAMASHITA Shingo 18:02:03 655 55 15 TSUJI Tsuyoshi 02:10 653 56 30 KAWACHI MASATAKA 03:17 641 68 40 TADANO Shoichiro 18:10 569
-- 231 KAMIYAMA Kazuko 大会棄権 ---
<結果速報 総合> 21 30 KAWACHI MASATAKA 3051 24 41 KATO Go 2906 24 15 TSUJI Tsuyoshi 2906 39 40 TADANO Shoichiro 2435 45 110 YAMASHITA Shingo 2354
<詳細レポート> 今日のコンディションは、昨日程は良くはない予報です。 しかし、風向きは上層から下層まで南西風の予報です。 と、くれば、1997年の世界選手権の時に行なわれたXCタスク? 東に90km行った所にあるゴール!? と思いきや、その時のゴールより先の、なんと、隣りの州にゴールを設定!!
「オ〜、・・・」と、選手達の声。
その模様は、スペインからヨーロッパへ! ヨーロッパの大会の場合、必ず、テレビ局が取材に来ます。 日本よりもパラグライダーはメジャーなのです。
山間部のタスクで、直線のタスクを設定できるのは、このカステホンの特徴です。 山間部の大会の場合、アウト&リターン(どこかに行って、戻ってくるタスク)が 殆どで、その通過パイロンを結んでいくと、トライアングル(三角形)や クワッドラングル(四角形)をしています。したがって、飛んでいるうちに その地域を、どんな風が吹いているかということが、想像できるのです。
※パイロン....通過地点。ラリーで言うならチェックポイント
しかし、真っ直ぐ飛んで行く場合、ドンドン状況が変化していき、 イメージが難しいといえます。尾根を越えたら、想像外の方向から 風が吹いていたという事は、良くある話です。 はたして、テイクオフから何km地点まで、予報と同じ南西の風が 吹いてるのだろうか? 自然に心臓の鼓動が高鳴ります。
そして、今日のポイントとなる地点を、私は知っています。 世界選手権で、私が10位以内に入れるかどうかを決定付けた ポイントだからです。もしかしたら、私だけではなかったかも? その地点は、テイクオフから60km行った所にある谷です。
ここは、他の谷に比べて吹き抜けが強く、手前の山では、 高度を稼げないばかりか、バックする程の風が吹きます。 ここを、高くクリアーできれば、その先の山は、逆に“楽勝”です。
そして、・・・、いよいよスタート! 今日も、絶好のポジションでスタート。いや、今までで一番良いかも? 今日は、トップ集団(6人)で移動し、後続を引き離しにかかります。 セカンド集団も、負けじとくっ付いてきます。 まさに、ガンガン・モード。一瞬たりとも気が抜けません。 対地速度は常に50km/hを越え(山際を飛んでいるので山肌まで数十m)、 ビリビリと電気にも似た物が、風と共に体にまとわり着きます。
そして、あっという間に問題のポイントに! 勝負!! どう攻略するか? 迷うトップ集団に襲いかかるセカンド集団! 予想通り、上がらない、風が強いで、辺りは大混乱!! 狭い空間に60機程が入り乱れ、収拾がつきません。
そんな中、沸騰し始めのような小さな泡に乗れた選手が、集団から抜け出て、 上げ直しに成功し、風下に消えていきます。 風下に消えた選手に離されるのを嫌った大集団は、そのまま風下へ移動開始。 しかし、なんとこの時、川地,加藤は、最も低いグループになっていたのでした。 ここでの高度差は、そのままゴールする順位につながる致命的なもの (+_+;) やられた (>_<)
しかし、ここで諦めるわけにはいきません。 勝負は、下駄を履くまで分からないもの。 風に流されるまま谷を渡り、上げ直しに成功し、 尾根を越えると、そこは、コンディションが一変。 サーマルが豊富にあり、中には3500mまでの高速エレベーターも、 まさに、ここは楽園。
それ〜っと、ばかりに、ゴールを目指します。 少しでも順位を上げるため、集団とは離れ、バレー(谷)の真中の サーマルを乗り継いで行きます。しかし、 調子に乗りすぎ、ゴール手前10kmでかなり低くなってしまいます。 またもや嫌な予感? (・・;)
※サーマル ....太陽の力によって暖められ発生する上昇風のこと。 この風を使ってパラグライダーは上昇します。
でも、大丈夫。バレー(谷)のど真ん中で、ゴール手前のサーマルをゲット!! 調子よく上げます。一様、余裕を見て、余分に上げますが、ゴールの飛行場が 一向に見えてきません。おかしいな?そろそろ見えてもいい筈なのに?
と、思いきや、実は飛行場は思ったよりもずっと近くにあり、 視線でいうと、もう足元にあったのでした。しまった上げすぎた!! 急いでアクセル全開!! しかし、時既に遅く、山際からゴールを目指していた 集団に先を越されてしまい、順位を上げる事ができませんでした。
次の日(8/2)に、TASK4の結果を見て、ビックリ、 ブリンクビーの点数が232点しか有りません。 ゴールに彼の姿はあったし、GPSトラブルかと思いきや・・・、 ゴールに300mほど、とどかなかったらしい。 (ーー;)
最強に見えた彼も、また、人の子だったのです。 彼の最近の強さは、神がかり的だったので、ホッとしたのと同時に、 ゴールでの彼の顔を思い出しました。 PWCパイロットの中でも、ひときわ素敵な笑顔を持つ彼は、 昨日も終始、その笑顔を絶やさなかったものの、どこか哀愁が漂っていると 感じたのは、間違いではなかったのです。
<つづく>
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<PWCのホームページ> http://www.pwca.org/ PWCの各大会のスケジュールや結果などが見れます。
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